この記事では、現役のバーテンダーゆうが、シェリーについて徹底解説いたします。
初心者にも分かり易く解説致しますので、最後までご覧ください!
それでは解説!!
1・シェリーとは?
シェリーとは、スペインの南部アンダルシアのへレスで作られている酒精強化ワインの一種です。
酒精強化ワインとは、スティルワインにアルコールを添加して作られるワインの総称で腐敗を防止する為に添加されます。
現在、日本でもシェリーを楽しめる場所が増えており、スペインバルを中心としてシェリーが普及しています。
一括にシェリーと言っても味わいは様々です。
辛口のフィノやマンサニーリャと言ったものから、極甘口のモスカテルやペドロヒメネスなど種類が様々です。
種類による味わいの違いもシェリーの楽しさの1つです。
正式名称はヘレス・ケレス・シェリー(jerez-xerez-sherry)でヘレスとケレスとシェリーはそれぞれスペイン語、フランス語、英語でヘレスという産地を意味しており、それらを並べた物が上記の名称です。
それを短くして、日本ではシェリーと呼ばれます。
ゴリラの正式名称がゴリラゴリラゴリラみたいな物ですかね。笑
このように地名がお酒の名前となるものは他にも沢山あり、シャンパーニュやボルドー、コニャックなども同じように地名からお酒の名前が名付けられています。
2・シェリーの産地
上記でも軽く触れましたが、シェリーはスペインの南部のアンダルシア地方のなかの3つの街の周辺で作られています。
その3つの街はそれぞれ、ヘレス・デ・ラ・フロンテラ(Jerez de la Frontera)、サンルーカル・デ・バラメーダ(Sanlucur deBarrameda)、エル・プエルト・デ・サンタ・マリア(El Puerto de Santa Maria)で、この3つの街をシェリートライアングルと呼びます。
これらの街の気候は、乾燥しており地中海性気候とされています。
3・シェリーのブドウ品種とは?
シェリーに使用されるブドウ品種は3種類でそれぞれ、パロミノ、モスカテル、ペドロヒメネスの3種です。
パロミノは、シェリーの中で最も使用される品種で、スッキリとして癖の無い品種なので、様々なシェリーに使用されます。
ヘレスのブドウ栽培の大部分を占めています。パロミノには、パロミノ・フィノとパロミノ・デ・ヘレスの2種類がありパロミノ・デ・ヘレスの方が生産性が低く高価で香り高いとされています。
モスカテルは、別名マスカット・オブ・アレキサンドリアや、ミュスカ、モスカートなどと呼ばれます。
フルーティーで非常に華やかな香りが特徴で、甘口のシェリーに使用されます。出来上がったシェリーは紅茶のような香りを漂わせます。
ペドロヒメネスは、極甘口のシェリーに使用されます。皮が薄いという特徴を持つこの品種は、乾燥させて干しブドウのような状態にするのに適しています。
そして糖度が高まった状態の物を使用して極甘口のシェリーになるのです。
4・シェリーの種類とは?
先程軽く触れましたが、シェリーには辛口から極甘口まで様々な種類があります。今回は、その中から基本的な4種類をご紹介します。
1・フィノ
フィノは辛口のシェリーの中でも非常に繊細で爽やかな味わいです。
中でも特徴なのが、酵母の香りで、イーストの香りはシャンパーニュを彷彿とさせます。酵母の酸化皮膜(フロール)が樽内の液体の上に出来る事によって空気に触れずに熟成します。
料理やシーンにも合わせられる万能型シェリーです。
2・マンサニーリャ
マンサニーリャはフィノに分類され、海に近いサンルーカル・バラメーダで作られます。
マンサニーリャの方が塩味を感じられより爽やかな味わいです。マンサニーリャもフロールの膜によって空気に触れずに熟成します。
カルパッチョや冷製パスタ等と非常に相性のよい物となっております。
3・オロロソ
オロロソは上の2種とは違い酸化熟成をさせたタイプです。
空気に触れる事によって色も琥珀色や茶褐色となり、味わいもナッツ類の香りやローストの香りなどが感じられます。
アルコール度数も少し高くなり18~22度ほどになります。
4・アモンティリヤード
アモンティリヤードは、フィノとオロロソの間のシェリーです。
液面のフロールが途中で消失する事によって作られます。
フィノの特徴の酵母の香りや、オロロソのナッツやコーヒーの香りをどちらも感じられる複雑な味わいです。
5・そのまま飲むだけじゃないオススメの飲み方とは?
シェリーはそのまま楽しむだけではなく、色々な楽しみ方があります。少しご紹介します。
1・カクテル
私のバーでは、シェリーがよく出ます。勿論そのまま飲まれる事も多いですが、カクテルも沢山オーダーされます。
例えば、レブヒートは、フィノやマンサニーリャをベースとしてセブンアップで割るカクテルです。
ライムスライスやオレンジスライスを加えるとより美味しいです。
スペインでは定番の飲まれ方で夏に最適のカクテルです。
次にバンブーはフィノやマンサニーリャをベースとしてドライベルモットを使いステアで作るショートカクテルです。
マティーニのシェリーアレンジのカクテルなのですが、マティーニに比べアルコール度数が低く気軽に楽しめるカクテルとなっております。
また、キウイフルーツとの相性がとても良くキウイのフルーツカクテルなどもおススメです。
2・ロックスタイルで楽しむ
次におススメなのがロックスタイルです。これは疑問に思う方も多いかと思いますが、とても美味しいですよ。
熟成年数の高い物はそのまま飲んで頂きたいですが、安価な物でしたら気軽に飲めるのでおススメです。
甘口のモスカテルなんかは特に相性が良いと思います。
3・バニラアイスに甘口シェリー
バニラアイスにモスカテルやペドロヒメネスをかけて食べるのもおススメです。
バニラにシェリーの複雑な味わいが重なって贅沢なデザートへと生まれ変わります。
乳製品との相性が非常に良く、牛乳と割って飲んでも美味しいですよ。
6・プロがおすすめのシェリー
1・フィノ
まず、ご紹介するのがこのティオペペです。
ドライかつフレッシュな味わいの辛口シェリーのでスペインでもレストランや自宅でも幅広く愛されるシェリーです。
フィノタイプであるこちらは、フロールの下で熟成されるので酸化せず、酵母のイーストの香りを漂わせます。
お値段も非常に安価で食事と楽しんでも良し、そのままでも勿論楽しめるシェリーとなっております。
2・マンサニーリャ
エミリオ・ルスタウはシェリーの生産者の中でも最も有名な生産者の一つです。その歴史は1896年からで、現在クオリティシェリーのベンチマークとされています。
その中でもこのマンサニーリャは、海沿いのサンルーカル・デ・バラメーダで生産され潮の香りが感じ、果実の豊かな香りを感じられるフィノタイプの辛口シェリーです。海鮮との相性が非常に良いとされ、スッキリとした味わいが特徴となっております。
3・アモンティリヤード
バルデスピノの歴史は非常に古く13世紀からワイン作りがされています。使われるブドウは単一畑「マチャルヌードアルト」の樹齢25年のブドウの木から作られておりブドウの収穫はすべて手作業で行われています。
中でもこのアモンティリヤードは、辛口シェリーに分類されフロールの下で10年熟成させたのちにフロールが消失し、さらに6年熟成させたフィノタイプとオロロソタイプの中間のシェリーです。
酵母の香りも感じつつ、オロロソタイプのようなクルミやコーヒーの香りも感じられる複雑な味わいです。
4・オロロソ
続いてご紹介するのが、先程ご紹介したエミリオルスタウのアルマセニスタシリーズです。「アルマセニスタ」とは、熟成庫を持ち、代々受け継がれてきた素晴らしいシェリーをストックしている人々のことで、その人々を尊重し、一切ブレンドせずにボトリングします。樽による個性を感じられボトルナンバーも刻印されます。
また「オロロソ」は、甘い香りと意味を持っており、その名の通り芳醇で奥深い味わいが特徴です。濃い琥珀色の外観をしており、アーモンドやクルミ、キャラメルやデーツなどの香りが特徴の辛口シェリーとなっております。
5・パロ・コルタド
続いて少し珍しいタイプのパロ・コルタドのご紹介です。パロ・コルタドの製法を詳しく解説するととても長くなってしまうので簡単にまとめると、パロコルタドは、アモンティリヤードとオロロソの中間のタイプになります。パロコルタドは、作ろうとして出来る物では無く、アモンティリヤードを作ろうとしていたらフロールが途中で消失してしまいオロロソとの中間のタイプとなるのです。
今回ご紹介するのが、先程紹介したウィリアムズハンバードのパロコルタドです。正確には、ドス・コルタドというパロコルタドより1年熟成期間が長いレアな物なんですが、この価格はとてもコスパが良いかと思います。
味わいは、アモンティィリヤードの繊細なアロマとオロロソのフルボディさを併せ持っており、大変美味な味わいとされています。上質な生ハムやチーズなどと合わせると絶妙なマリアージュを醸し出します。
6・クリーム
続いてクリームのご紹介です。クリームは辛口のオロロソタイプと甘口のペドロヒメネスからなるシェリーをブレンドして作られる。甘口シェリーに分類されます。
バルデスピノのクリームはオロロソが75%でペドロヒメネスが25%という割合でブレンドされており、オロロソの芳醇な香りとペドロヒメネスの甘くジューシーな味わいを併せ持っています。
また、クリームはロックスタイルでも楽しむ事が出来て、加水されても味砕けしません。
7・モスカテル
続いて、モスカテルのご紹介です。先程ご紹介したエミリオルスタウのシェリーで、モスカテル種を100%使用した甘口シェリーになります。
エミリオルスタウのモスカテルは8年ソレラシステムにより熟成され、紅茶のような香りで、ハードタイプのチーズとの相性が非常に良いです。
7・まとめ
最後まで見て頂いてありがとうございます!他の記事もお酒に関する事を書いておりますので是非見て下さいね!→ホーム