この記事では現役バーテンダーのゆうが、アイリッシュウイスキーに関して解説致します。
主に、
- アイリッシュウイスキーについて
- 特徴、歴史、味わい
- オススメの銘柄8選!
これらを解説して行きます。
それでは解説です。
アイリッシュウイスキーについて
アイリッシュウイスキーとは?
アイリッシュウイスキーはアイルランド及び北アイルランドで製造されるウイスキーの事を指します。
スッキリした味わいとオイリーな口当たりが特徴で、19世紀後半から20世紀の初頭にかけてとても人気を博しました。
アイリッシュウイスキーの定義
アイリッシュウイスキーは簡単に3つです。
- アイルランドか英国領北アイルランドで糖化、発酵、蒸留、熟成させたウイスキーである事
- 3年以上木の樽で熟成させたウイスキーである事
- アルコール度数が40度以上となるウイスキーである事
の3つです。
アイリッシュウイスキーの特徴
アイリッシュウイスキーには、単式蒸留の際に3回蒸留するという特徴があります。これによりスッキリとした味わいのウイスキーとなりやすいです。
また種類別に、ポットスチルウイスキー、シングルモルト、シングルグレーン、ブレンデッドウイスキーと分ける事が出来ます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
ポットスチルウイスキー
原料:大麦麦芽を30%以上、未発芽の大麦を30%以上使用
蒸溜方法:単式蒸留器で3回蒸留
味わい:オイリーで力強い
代表的な銘柄:レッドブレスト、グリーンスポットなど
シングルモルト
原料:大麦麦芽100%
蒸留方法:単式蒸留器で3回蒸留
味わい:モルトの香ばしい味わい、スコッチに比べてライト
代表的な銘柄:ブッシュミルズ シングルモルト
シングルグレーン
原料:穀物類(トウモロコシや小麦など)
蒸留方法:連続式蒸溜機で蒸留
味わい:クリアでスッキリとした味わい
代表的な銘柄:ティーリング シングルグレーンなど
ブレンデッドウイスキー
原料:ポットスチルウイスキーまたはシングルモルトとシングルグレーンのブレンド
蒸留方法:ーー
味わい:飲みやすく軽やかな味わい
代表的な銘柄:
衰退の原因
アイリッシュウイスキーは1920年以降衰退の一途を辿りました。
なぜアイリッシュウイスキーは衰退したのでしょうか。
アイリッシュウイスキーが衰退した理由は主に3つと推測できます。
- アメリカの禁酒法の影響
- 独立戦争の影響
- 連続式蒸溜機とブレンデッド技術の向上
アメリカの禁酒法の影響
アメリカは1920年から1933年の間まで、禁酒法が施法されました。
当時、アイリッシュウイスキーの輸出先のほとんどがアメリカだった為、アイリッシュウイスキーの輸出にとても大きな影響を与えたのです。
さらに追撃として、第二次世界戦争でのアイルランドの対応が大きな影響を与えたのです。
第二次世界大戦中にアイルランドは、国内のウイスキーの消費を高めるために、国外の輸出を禁止したのです。それにより、需要量が一気に下がり、アイリッシュウイスキーは衰退していきました。
独立戦争の影響
1916年、アイルランドでは英国との独立戦争は激化していきました。
その為、英国の商圏の国はアイリッシュウイスキーの輸入を禁止しアイリッシュウイスキーは売り先を失なったのです。
連続式蒸溜機とブレンデッド技術の向上
1800年代に入り、連続式蒸留機の開発が進みました。中でも1831年にイーニアス・コフィのより開発された”コフィー式蒸溜機”はグレーンウイスキーの製造を飛躍させました。
また、同時にモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドする技術がスコットランドで高まってゆき、ブレンデッドウイスキーが世界的に流通し始めました。
当時、単式蒸留器で3回蒸留が一般的だったアイリッシュウイスキーは飲みやすさが売りだったのですが、ブレンデッドウイスキーも飲みやすく、さらにコスト面もブレンデッドウイスキーの方が安かった為、アイリッシュウイスキーの消費者はブレンデッドウイスキーに移ってしまったのです。
まとめると
- アメリカの禁酒法により輸出量が激減!
- 独立戦争による英国からの締め出しで需要減!
- ブレンデッドウイスキーの誕生による需要減!
復活へ
先述の通り、アイリッシュウイスキーは衰退の一途をたどりました。
しかし近年アイリッシュウイスキーは再び注目を集め、ウイスキーの表舞台に帰り咲きつつあります。
実際、現在蒸溜所の数は40程に回復し(数年前までは4つの蒸留所しか無かった)生産量も劇的に増加中です。
アイリッシュウイスキーのオススメ銘柄8選
選び方のポイント!!
- 蒸留所で選ぶ!
- タイプ別で考える!
1・アイリッシュウイスキーは一つの蒸留所で複数の銘柄が製造される事が多いです。蒸留所の味の個性を見つけ、好みの蒸留所を見つけましょう。
2・また、タイプ別で考える事で酒質が違うので好みのタイプを考えましょう!!
ジェイムソン
ジェイムソンのご紹介です。
ジェイムソンは世界で一番売れているアイリッシュウイスキーとして有名です。
スッキリとした味わいが特徴で、オイリーなどはかなり控えめです。
蒸留所はミドルトン蒸留所。
ブッシュミルズ シングルモルト
ブッシュミルズ蒸留所で生産されるブッシュミルズ。
アイリッシュウイスキーの中でも生粋の歴史を誇っており、なかでもシングルモルトはしっかりとしたモルトの香ばしい味わいを感じれる一本です。
カネマラ ピーテッド シングルモルト
カネマラはアイリッシュウイスキーの中でも非常に珍しくピーテッドモルトを使用したウイスキーです。
スモーキーながらもアイリッシュ特有の3回蒸留の影響により、後口は非常にスッキリとした味わいに仕上がっております。
蒸留所はクーリー蒸留所
ザ・ホイッスラー オロロソカスクフィニッシュ
ホイッスラーは2016年創業の「ボアン蒸留所」という新興蒸留所で造られています。いわゆる昨今のアイリッシュウイスキーブームの代表的な銘柄です。
シングルモルトとオロロソタイプを展開しており、中でもオロロソタイプは濃厚なドライフルーツの様な香りを放ちながらも後口はスッキリとした味わい。
日本では、2019年以降から販売されており、人気が高まってきております。
レッドブレスト シングルポットスチル
レッドブレストはポットスチルウイスキーを一番代表すると言っても良い銘柄。
ポットスチルウイスキーのオイリーな味わいがしっかりと感じられるウイスキーラバーも絶賛する一本。
アイリッシュウイスキーはこれだと言わしめる様な味わいを感じたい方にオススメの銘柄です。
蒸留所はミドルトン蒸留所。
タラモアデュー
タラモアデューはミドルトン蒸留所で生産されるブレンデッドウイスキー。
ジェイムソン同様スッキリとした味わいで世界的にもとても人気の高い銘柄。
ティーリング スモールバッチ
ティーリング・ウイスキー社はアイルランドのダブリンに本拠を構える独立瓶詰業者です。
アイリッシュモルトウイスキーとアイリッシュグレーンウイスキーをブレンド。
その後、ニカラグアのラムカスクでさらに後熟させ、ノンチルフィルターでボトリングした少量限定生産のブレンデッド・アイリッシュウィスキーです。
味わいが世界的に評価されており、ますます人気となるであろう一本。
ランベイ シングルモルト
フランスの名門コニャック”カミュ社”がプロデュースするランベイです。
カミュ社と同じマスターブレンダーパトリック・レジェ氏が兼任しており、熟成に使用される樽もカミュ社で40熟成させた古樽を使用するという拘りです。
ブランデーの様な甘い香りとオイリーさが絶妙にマッチしております。
最後に
いかがでしたか?
一時は大衰退したアイリッシュウイスキーでしたが、再び世界が大注目するウイスキーとして返り咲きました。
今後もアイリッシュウイスキーの蒸留所を増えていく予定です。
スコッチウイスキーを超える日が近いかもしれませんね!
今日は以上です!
ありがとうございました!
参考文献:ウイスキー検定公式テキスト、ウイスキーは楽しい、ウイスキーコンパニオン