この記事は、お酒に関する様々な事を現役バーテンダーゆうが解説致します。
今回は、シェイカーカクテル編!ぜひ最後まで見て下さい!
それでは解説!
1・カクテルとは?
カクテルとは、材料を混ぜ合わせて作るお酒の総称を指します。
cock-tailは直訳すると「雄鶏のしっぽ」です。何故こんな名前になったかは諸説ありますが、有名なお話を一つ挙げます。
スペインの港町。船の船員たちは港の酒場に立ち寄ります。するとカウンターの中では少年がきれいに皮を剥いた木の枝を使ってお酒と何かを混ぜ合わせていました。
その木の枝は、今で言うバースプーンの役割だったのでしょう。船員たちは、何か混ぜて作っているお酒の事が気になってそのお酒の名前を知りたくなって「それは何?」と質問します。
ですが少年は、お酒の事を聞かれているのではなく、木の枝の事を聞かれているのだと勘違いしてしまいました。
少年はこう答えます。「コーラ・デ・ガジョ(Cola de gallo)」と。
コーラ・デ・ガジョとは、スペイン語で「雄鶏のしっぽ」を意味します。手入れされた木の枝がお気に入りの少年は、愛着を持ってそう名付けたのです。
コーラ・デ・ガジョは英訳すると、「テール・オブ・コック」そこからコックテール。日本ではそれが訛って聞こえ「カクテル」と呼ばれる事になったのです。
こういった流れでカクテルという言葉が生まれたといわれております。
2・カクテルの技法
カクテルの技法は様々です。今回は、主要な物を解説していきます。
1・ビルド
ビルドとは、グラスに直接お酒や材料、氷を入れて混ぜ合わせる技法でバースプーンを使ってかき混ぜます。背の高いロングカクテルに使われる事の多い技法で、飲みやすくアルコール度数がそこまで高くないカクテルに多いです。
代表的なカクテルは、ジントニック、モスコミュール、ネグローニなど。
2・シェイク
今回はメインで解説する技法のシェイクですが、お酒や材料をシェイカーの中に入れて氷を入れてシェイク(振りながら混ぜる)事によって作る技法です。
シェイクをする事によって急激に液体の温度が冷却される効果と、液体に空気が含まれる事によって味全体がまろやかになり、アルコール度数を感じづらくなる効果があります。
代表的なカクテルは、ギムレット、サイドカー、ダイキリなど。
3・ステア
ステアは、ミキシンググラスを使用して、お酒や材料をミキシンググラスの中に入れて氷を入れバースプーンでゆっくり混ぜ合わせる技法です。
シェイクと比較される事の多い技法ですが、最大の違いは空気を含ませずにお酒や材料の個性を引き出す事です。繊細な材料をシェイクしてしまうと良さが曖昧になってしまうのです。
代表的なカクテルは、マティーニ、マンハッタンなど。
4・ブレンド
ブレンドはブレンダーを使用して材料と氷を砕きながら混ぜ合わせる技法です。氷ごと砕くのでシャーベット状になってまるでノンアルコールのような食べやすい口当たりとなります。
代表的なカクテルは、フローズンダイキリ、フローズンマルガリータなど。
3・シェイカーの種類とその用途
お次にシェイカーの種類について解説していきます。それぞれ用途によって使い分けがシェイカーにもなされています。
1・3ピースシェイカー
3ピースシェイカーは、シェイカーの中でも一番基本となる物です。3つのパーツはそれぞれ下から、ボディ、ストレーナー、トップといいます。
使用方法はボディの中にお酒と氷を入れて、ストレーナー、トップと順番にかぶせてます。トップの方を手前側に持ち使用します。
主に液体だけの場合に使用する事が多く、特に日本でよく使用されます。
2・ボストンシェイカー
続けてボストンシェイカーのご紹介です。ボストンシェイカーは3ピースとは違い、2ピース構造のシェイカーで、縦長で3ピースよりも大きいシェイカーです。
主にイチゴやブドウなどのフルーツカクテルやミルク系のカクテルに使用される事が多いです。理由は、その縦長の構造により遠心力が生まれて果肉が潰れ、3ピースより空気が多く含まれる事です。
このシェイカーの弱点は、少し振りずらい事と、氷が3ピースに比べて溶けやすい事です。
海外でよく使われている印象ですが、日本でも多く使われています。
3・バロンシェイカー
バロンシェイカーは、3ピースシェイカーと同じく3つのパーツで形成されていますが形状が違います。
いかり肩のバロンシェイカーの特徴は、シェイクする際の音がリズミカルに心地よい音を出すという事です。何故かというと形状的に氷がシェイカーに当たりやすい特徴を持っています。氷が当たりやすい事によって出来上がったカクテルの表面に氷のフレーク(非常に小さい氷)が浮かびます。そのフレークを作るかどうかは好みなのですが、わざと作るバーテンダーも少なくありません。
4・オススメのシェイカーカクテル10選
次におススメのシェイクカクテルをご紹介していきます。シェイクはバーの醍醐味なのでぜひバーや自宅で飲んでみて下さい!
今回は私の独断と偏見でご紹介します。(笑)
ギムレット
まずはギムレット。小説家レイモンド・チャンドラーの名著the long goodbyeに登場するセリフの「ギムレットには早すぎる」は有名で、バーテンダーで知らぬ者はおりません。
レシピは、
- ジン 45ml
- ライム 10ml
- 砂糖 1tsp
これらをシェイクし、冷えたカクテルグラスに注ぎます。
小説に登場するギムレットのレシピは、
- ジン 45ml
- ローズ社 コーディアルライム 15ml
これらをシェイクしてカクテルグラスに注ぐと言うシンプルなレシピで、このレシピで作ったギムレットをパーフェクトギムレットと呼びます。
最近のギムレットは甘みが少なくドライめに作られる事が多く、小説のレシピでは甘く感じる方が多いです。
XYZ
XYZは様々な意味を持ち、「終わり」や「これ以上ない」や「貴方とはこれで終わり」など意味深なカクテルとして知られます。
レシピは、
- ホワイトラム 30ml
- コアントロー 15ml
- レモンジュース 15ml
これらをシェイクしてカクテルグラスに注ぐというレシピなのですが、それでは酸味が強すぎる為ライムは10ml程度まで減らされる事が多いです。
このレシピでメインを変える事により色々な名前に変化し、ジンなら「ホワイトレディ」、ウォッカなら「バラライカ」と変化していきます。
https://yuubartender.com/coantorue/3120/
マルガリータ
1949年のナショナルカクテルコンテストの優勝作品であるマルガリータはある女性「マーガレット」から名付けられています。ロサンゼルスのバーテンダー「ジャン・デュレッサー氏」により考案されたマルガリータですが、その語源の女性マーガレットはジャン・デュレッサー氏の元恋人なのです。
実はマーガレットは、ある日二人で狩猟場に行った際に流れ弾にあたり不慮の事故で亡くなってしまいます。マルガリータは、亡き恋人を思い作られたカクテルなのです。
このマルガリータがカクテルコンテストで優勝した時には、そのエピソードは誰にも伝えておらず、優勝した約20年後にこのエピソードを初めて語ったのです。
そのエピソードがあったから優勝したのでは無く、実力だけで勝ち取ったのです。何とも感動的なエピソードです。
ちなみにマルガリータのカクテル言葉は「無言の愛」。
気になるレシピですが、
- テキーラ 30ml
- コアントロー 15ml
- ライムジュース 15ml
これらをシェイクして、スノースタイルしたカクテルグラスに注ぎます。
スノースタイルとは、塩をグラスの縁に付けるカクテルの技法です。塩味と甘み、アルコールの刺激が絶妙にマッチしたマルガリータを是非試してみて下さい!
ちなみに、マルガリータもライム15mlでは多すぎるので10mlぐらいにするバーが多いです。
ジャックローズ
ジャックローズは、リンゴのブランデーのカルヴァドスがベースとなっており、アメリカでは、カルヴァドスの事を「アップルジャック」と呼ぶこともあるそうです。
そのアップルジャックを使い赤いシロップ「グレナデンシロップ」を使用する事で、赤いバラのイメージでジャックローズと名付けられました。
レシピは、
- カルヴァドス 40ml
- レモンジュース 10ml
- グレナデンシロップ 10ml
これらをシェイクしてカクテルグラスに注ぎます。
ちなみにグレナデンシロップはザクロのシロップの事です。バーによってはフレッシュのザクロを使用して作るバーも多いです。ただ、ザクロは剥くのが大変です。笑
ブルームーン
このカクテルは意味深な意味を持っています。ブルームーンは直訳すると「青い月」です。一ヶ月に2回満月が出るという大変珍しい現象の時に月が青く光るとされていました。
英語では、その事を「once a blue moon」と言い、「滅多に起きない事」や「決して有り得ない事」などと言う意味があります。
また、カクテルの材料のバイオレットリキュール「パルフェタムール」を使用するのですが、この「パルフェタムール」の意味はフランス語で「完全なる愛」なのです。
ですがこのブルームーン、「完全なる愛」と意味では無く、「お断り」や「その告白は受け入れられない」などの全く逆の意味を持っているんです。
「完全なる愛なのに、その告白は受けれない。」何とも意味深ですね。
気になるレシピは、
- ジン 40ml
- レモンジュース 10ml
- パルフェタムール 10ml
これらをシェイクしてカクテルグラスに注ぐ。最後にお好みでレモンピールを振りかける。
味わいは、非常にスッキリとしており見た目も綺麗なのでとても人気のカクテルです。こんな意味深な意味を知っている方はどれ程いるのでしょうか?
シンガポールスリング(ラッフルズスタイル)
続いてシンガポールスリングのご紹介です。シンガポールスリングは日本と本場では全くレシピが異なっており、本場シンガポールのラッフルズホテルのロングバーのシンガポールスリングは、ラッフルズスタイルと言います。
トロピカルカクテルの傑作と呼ばれるこのカクテルですが、非常にレシピが複雑で、様々な物が入ります。
- ジン30ml
- チェリーヒーリングリキュール15ml
- パイナップルジュース120ml
- ライムジュース15ml
- コアントロー7.5ml
- ベネディクティンDom7.5ml
- グレナディン10ml
- アンゴスチュラビターズ少量
これらをボストンシェイカーでシェイクしてグラスに氷ごと注ぐ。最後にパイナップルとマラスキーノチェリーを飾ります。
ロングバーでは、殻付きのピーナッツがもう一つの名物で食べたピーナッツの殻は床に捨てるという習慣があり、床は殻だらけです。しかもそのピーナッツは無料です。
シンガポールに行かれた際は、是非ロングバーに立ち寄ってみて下さい!
サイドカー
サイドカーはブランデーベースのカクテルです。意味は「バイクなどの横につくサイドカー」をさします。
サイドカーのカクテル言葉は「いつもふたりで。」何ともロマンチックですね。
レシピは、
- ブランデー 30ml
- レモンジュース 15ml
- コアントロー 15ml
これらをシェイクしてカクテルグラスに注ぐ。お好みでオレンジピールを振りかける。
XYZのラムをブランデーに変えるとサイドカーになるのですが、アレンジをするお店が多いです。私のお店では、シェイクではなくステアで作ります。
また、コアントローを使ったカクテルをもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください↓↓
https://yuubartender.com/coantorue/3120/
ビトゥイーンザシーツ
カクテルの中には、ナイトキャップカクテルというのがあります。寝る前の最高の一杯という意味合いのナイトキャップカクテルですが、今回ご紹介するのが、最強のナイトキャップカクテル「ビトゥイーンザシーツ」です。意味は「ベッドに入って」です。
レシピは、
- ブランデー 20ml
- ホワイトラム 20ml
- コアントロー 20ml
- レモンジュース 1tsp
これらをシェイクしてカクテルグラスに注ぐ。
非常に香りが良く飲みやすいのですが、かなり度数は高く危険なカクテルとも言えるでしょう。私は、このカクテルの名前がなんともかっこよくて大好きです!
エスプレッソマティーニ
エスプレッソマティーニは、海外で絶大な人気を誇っており日本でも最近はよく頼まれる事が多くなっています。
気になるレシピは、
- ウォッカ 50ml
- エスプレッソ 10ml
- シュガーシロップ 1tsp
これらをシェイクしてカクテルグラスに注ぐ。
通常はこのレシピなのですが、アレンジされる事が多いです。私で言うと5ml程のカンパリを足す事によってエスプレッソの苦味が強調され味全体の輪郭が出るので入れています。
ラストキッス
ラストキッスって名前素敵ですよね。何か、切なさを感じる名前です。
レシピは、
- ホワイトラム 45ml
- ブランデー 10ml
- レモンジュース 5ml
これらをシェイクしてカクテルグラスに注ぐ。
非常に辛口でほのかに甘さを感じる味わいです。最後のキスは苦く感じ、甘さはほとんど無いのでしょうか。そんな事考えながら、このカクテルを作ります。
ロマンチックでどこか冷たい「ラストキッス」。ぜひ飲んでみて下さい。
5・まとめ
いかがでしたか?今回はシェイカーカクテルをご紹介しました。
カクテルの意味で選んでもよし、味で選んでもよし。
何かお気に入りカクテルがあるというのは、とても素敵で人生を華やかにしてくれるのでは無いでしょうか?
今日は、以上です。いつも最後までみて頂いてありがとうございました!
この記事の他にも、様々なお酒の情報を「Glass Fizz~洋酒とBarのwebマガジン~」にて挙げております。
是非見て下さい!
ありがとうございました!!